憲法論というユートピアを飛び出せ!

「憲法論というユートピア」と私が呼ぶのは、憲法の字面だけを教義の原典として神学的構図の中で議論を交わすという閉鎖的公共圏のことである。日本独特のリベラルサヨク大学人が準拠集団としているのが、この公共圏である。もともと頭のいい優等生たちなので専門知識だけでなく国際的視野も留学経験もたくさんあるだろうに、この公共圏では「憲法が想定していること以外は違憲だから考えてはいけない、考えること自体が悪」という態度が培養されている。だから国際的視野から安全保障を論じること自体が罪深いことになり封印される。殺し文句は「違憲だ」である。これだけで批判は終わり。つまり門前払いである。だから何も考えないでいい。いかにも効率優先で勝利してきた優等生たちである。そして集団的に人格攻撃に入る。「反権力」=「庶民の味方」のつもりなんだろうが、かれらは国立大学や有力大学の教員なので、日本のエスタブリッシュの人たちのほとんどを教育してきた人たちである。基本的には学閥を形成しているが、自分たちは「お仲間」と認識していて「学閥」であることには総じて無自覚である。能力が高く、まじめで、いい人が多いのはたしかで、日本のメディア環境はこの人たちが仕切っている。ネットは別だと言いたいのであるが、品質の悪いネトウヨに説得力はないから、結局、まともに言論しているのはリベラルサヨク大学人ということになる。