フェイスブックでの議論からコメントを貼り付けておきます。最近のフェイスブックは、まるで毎日ゼミをやっているようです。多彩な先生方からいろいろヒントをもらうと同時に、かつての教え子たちと緩いゼミをやっているような気分です。さて今日のコメントから。
ありがとうございます。いい機会なのでここで改めて確認させてください。私が考えているのは「抵抗の戦略」です。まずリベラルの大同団結的非難があって「それで抵抗になるのか」という疑問がスタートライン。「じゃ、安倍政権の考えをちゃんと理解してみよう」ということで、憲法論的に理解してみようと勉強を始めて、ファシズム論やシュミットの理論を勉強して、先生からのアドバイスもあって、難解なシュミットの視点から現在の状況を見ることができるようになりました。シュミットで一気に視野が開けました。そこでまとめたのが「抵抗のレイヤー」で、現在進行形のシナリオの近未来が垣間見えてきました。そこから見ると「戦争法案」というワンフレーズで感情的にプロパガンダするリベラルの(何回も繰り返されてきた)失敗が容易に予想できました。しかも、この失敗はおそらく取り返しがつかない。それは先生の予想によると自民党案でさえないものだとのこと。他方、安倍政権の考えには相当なぶれと振幅のあることが国会審議の中で浮き彫りになってきました。それは野党の追及にたじたじになったのではなく、安倍政権にとって「今回の安保法制はもともと緊急避難的な提案であったのではないか」との疑念が生じてきました。つまり安倍首相自身が何かに抵抗しているレイヤーがあると。当然それはアメリカで、そこで、戦後の日本に対するアメリカの安全保障政策について読書を進めてきて、日米地位協定の重さを知りました。これまでなんとなくごまかされて説明されてきましたが、今回はっきりと認識できました。世間では陰謀論とのレッテルが貼られていますが、サイバー戦争やドラグネットについての現実が示すように、それは歴然としています。サイバースペースでは、すでに「世界大戦」は始まっているのです。それに対するアメリカの態度は果たして一枚岩なのかが次の問題です。そこを読書中で、それでいささか混乱していたしだい。私はわりとざっくり理解する方ですが、メゾレベルが気になってしまって、なかなか先生のようには割り切れないところがあるのです。ただ、もう何を言っても議事は進行してしまいそうなので、私自身は、学生時代にレポートを書いたことのあるガルトゥングのいう「構造的暴力」やセンのいう「人間の安全保障」や国際レジーム論などの方にシフトしようと思っています。当面、今年度中に2冊の書き下ろしを予定しているので、ちゃんと仕事もしなくちゃいけません。ネット上では「ひまな大学教授」と見られているでしょうし。まあ、それはいいんですが。他方「戦争法案反対」の人たちの方の動きも心配です。60年代安保闘争においてブントが凶悪なセクトを産んで、今なお日本のブラックな部分に繁茂しています。「マングローブ」と呼ばれるものですね。これと同様のことが生じなければいいけど、とりわけ「水晶の夜」のようなことが、じつはこの人たちによって生じるのではないかと懸念しています。皮肉な想像ですが、この人たちによって「悪者探し」「スケープゴーティング」「マッカーシズム」が始まりそうな気がして仕方ない。豊穣な大正文化の最中に生じた関東大震災のことを思うと、このカルチャーな日本にも何かトリガーがあると、ルワンダのような内戦と悲劇が生じる可能性はあると思います。やはり思考停止こそがリスクですね。