ニュースについての発表の仕方『ゼミ入門』より

ここではニュースについて報告するケースを考えてみよう。模倣すべき見本は池上彰さんのあの語り方である。テレビを見て、その語りのスタイルを学ぼう。池上さんはすこぶる物知りで、しかもどんなニュースも事前にきちんと調べて、わかりやすく語ってくれるが、そのスタイルはほとんど定型である。その定型を崩さないから、私たちはどんなニュースについても池上流にわかるのである。
(1)こんなニュースがありました。・・・[動向]
(2)○○というのは、かつて・・・なんですね。[歴史]
(3)それがこういうことになっているわけです。[結果]
(4)なぜかというと・・・[理由]
(5)じゃあ、どうすればいいかというと・・・[対策]
(6)・・・そこが問題なんですね。[論点]
このスタイルを模倣してみよう。このスタイルに、調べたコンテンツを投入すればいいのである。
しかし、じつは池上さんには、もうひとつの技がある。それは質問にちゃんと答えることである。これは想定問答を考えて、何も知らない人が疑問に思うであろうことを想像して、ちゃんと用意しておくのである。だから池上さんは「そもそも○○って何ですか」といった質問が終わるか終わらないかのタイミングで答え始めることができる。「そこからですか?」といった質問にも事前に答を用意しているのがエライところである。世の優秀な大学教授はこの点を認めるべきだと思う。

野村一夫『ゼミ入門』61-62ページ。

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